その日は朝から仕事だったので、いつものように電車に乗って、いつもの駅で降りました。
朝の７時半頃だったと思いますけど、結構多くの人が、どっとホームに降りました。
そこで入院中のこどものママとパパをばったり見かけました。

会釈をすると 「今日は○○をやる日なんです」と向こうから声をかけられました。
そうです。その日はその子にとってある治療を行う日でした。
「よろしくお願いします」
そういって、ママとパパは深々と頭を下げました。
こんな若僧の私に。ママとパパの顔を見たら、胸が詰まりそうでした。

「うまくいくといいですね」
そんな風にいって改札を出たように思います。
神様がいるんだったら、この親子にたくさんの幸せをふりかけてあげられるといいのに。
そういうときには、口に出せる気の利いた言葉が頭に浮かばないのです。

今もその駅を通ると、
ホームのあのママとパパの姿を思い出します。
元気にしているといいんだけどなあ。