入院生活を経験すると、こどもはびっくりするほど成長します。
病院の中では、みんなどこか病気で、大変な部分を抱えている。場所はみんな違うけど。
そして みんな、おうちから離れて入院している。あかちゃんも、お兄ちゃんも。
だから病院では、お互いのことを思いやる気持ちが育っていくのだと思います。

ある時、ナースコールが鳴りました。
すぐに部屋に行ってみると
「○○ちゃんが、苦しそうだよ・・・」
斜め前のベッドでむせていた、お兄ちゃんのかわりに
小さなその子がナースコールを押してくれたのです。

その子は知っていました。自分よりずいぶん年上のそのお兄ちゃんが
しゃべる事も、自分で起き上がることも、ナースコールを押すこともできないってことを。
急いで吸引すると、お兄ちゃんは落ち着きました。

「△△ちゃん、ありがとね」
その子の頭のてっぺんでむすんだ前髪が
恥ずかしそうにふわっと揺れました。
面会のとき、その子はママの前で本当に甘えん坊さん。
でも、パパ、ママの見ていないところでこどもたちは着実に何か学び取って、成長しているのです。